
在宅勤務する機械設計者に仕事を依頼することはできるの?
そんな疑問を抱えている企業の方も多いのではないでしょうか。
新規事業や製品開発を進めるにあたって、社内に設計者が不足しているとなかなか思うようにプロジェクトが進まないことがあると思います。
しかし、社員を採用するにはハードルが高く、派遣や業務委託といった選択肢を検討するも「リモートワークで本当に設計業務を任せられるのか?」という不安も残りがちです。
実際のところ、機械設計の多くの業務はパソコンとCADがあれば進められる業務であり、在宅勤務で十分対応できるケースも少なくありません。
逆に、現場の立会いや評価試験など、どうしてもリモートワークでは難しい作業も存在します。
本記事では、「在宅勤務でできる仕事」「在宅勤務では難しい仕事」 を整理したうえで、実際に在宅で活躍している機械設計者の事例をご紹介します。
記事を読むことで、依頼できる業務の切り出し方がイメージでき、自社でも在宅勤務の機械設計者を活用できる可能性が見えてくるはずです。
ぜひ、参考にしてみてください。
結論:機械設計者は在宅勤務でも仕事ができます
結論から言えば、機械設計者は在宅勤務でも十分に業務を進めることが可能です。
機械設計の仕事は、
- 機構のアイデアや設計構想を考える
- 設計計算や関連資料をまとめる
- CADで設計・製図をする
といったデスクワークが中心です。これらは、パソコン・CADソフト・インターネット環境さえあれば、オフィスに出社しなくても取り組むことができます。
近年では、CADデータや設計書類をサーバー上で共有したり、メールやチャット(Teamsなど)に加え、Web会議ツールを通じてコミュニケーションを取ったりする環境が整ってきました。
そのため、社内にいるのとほとんど変わらない形で設計業務を進められるようになりました。
実際に私自身も、業務委託として在宅勤務で機械設計の仕事を行っています。製缶物の構造設計やロボットの治具設計など、構想設計から詳細図面まで幅広くリモートで対応してきましたが、業務上大きな支障はありませんでした。
もちろん、すべての仕事が在宅勤務で完結するわけではありません。現物を見ながら打ち合わせをするなど、対面でしかできない業務も存在します。
しかし、「設計・製図・資料作成」といった機械設計の主要な業務については、在宅勤務で問題なく進められると言えます。
在宅勤務でできる機械設計の仕事

在宅勤務でも対応できる機械設計の代表的な業務は、次の通りです。
- 構想設計・ポンチ絵の作成
装置や機械の基本的なアイデアを考え、簡単なスケッチや図を描いて資料にまとめる作業です。設計の初期段階でよく行います。 - 設計計算(強度・公差・動力計算など)
ボルトの強度計算やシャフトのたわみ計算、公差の積み上げなどは、パソコン上で設計計算をします。 - CADを使った設計業務
構想設計から詳細設計、図面の作成まで、設計の大半はCADを使って行います。近年はインターネット経由で認証するネットワークライセンス型のCADが多く、自宅からもCADを使える環境が整えやすいです。 - 購入品の選定
モータ、ベアリング、エアシリンダーなどの標準部品の選定は、メーカーのカタログやWebサイトで行えます。最近はカタログもペーパーレス化が進み、オンラインでカタログが見られるようになりました。 - 計画図・組図からの「バラシ」
全体図から部品図を展開する作業(いわゆる「バラシ」)もCAD上で行います。 - 部品表(BOM)の作成
CADの設計情報から部品の種類や数をカウントし、エクセルなどのフォーマットに記載します。 - 見積もり依頼・原価計算
図面をもとにサプライヤーへ見積もり依頼を出したり、概算原価を試算する作業もオンラインで可能です。 - Web会議による進捗確認などの打ち合わせ
TeamsやZoomを使えば、進捗共有などの打ち合わせも可能です。Web会議と対面の打ち合わせをうまく使い分け、移動時間や出張費用を抑えることができます。
これらの業務は、社内常駐でなくても十分に進められるものです。
在宅勤務でできない機械設計の仕事

一方で、在宅勤務ではどうしても対応が難しい業務も存在します。設計はパソコン上で完結できても、「現物に触れる」「現場を確認する」といった作業はリモートでは代替できません。代表的な業務を見ていきましょう。
- 製造や組立への立会い
実際の装置や製品が製造される場面に立ち会い、組立手順や製造工程を確認する仕事は、工場や現場に足を運ぶ必要があります。 - 現場での不具合調査
装置の組み立て中や試験中に、「ボルトが干渉して工具が入らない」「実際の動きが想定していたものと違う」というような問題が発生したときは、現物を直接確認する必要があります。 - 評価試験・実機検証
強度試験や耐久試験、性能評価など、実際に機械を稼働させて検証する作業も在宅勤務では難しいです。試験装置がある場所(製造現場や社内の評価試験場)でしか行えない業務です。
こうした作業は「社内で作業する」「現地に立ち会える人材と連携する」 ことが必要です。
機械設計者の在宅勤務の事例

ここでは、実際に在宅勤務で活躍している機械設計者の事例をご紹介します。
業務委託としての機械設計者
機械設計者は、フリーランスとして独立している方もいれば、企業に勤めながらも個人事業として設計業務を受けている方もいます。
彼らは、前職のつながりやインターネットなどを活用し、機械設計を依頼したい企業の設計案件を行っています。
普段の設計業務や定例ミーティングなどは自宅や事務所で行うため、依頼先とは(ほぼ)フルリモートで仕事をしています。対面の打ち合わせや現物確認の必要性が出てきたときは、出張して対応します。
CADオペレーター
CADオペレーターはCADを操作して、3Dモデルや図面を作成する仕事です。パソコンとCADがあれば、仕事は完結しますので、CADオペレーターは在宅勤務と相性の良い仕事です。
クラウドソーシングサイト
クラウドワークスやココナラのようなクラウドソーシングサイトで設計案件を発注することもできます。
これらのサイト上で、機械設計者として登録している方は複数人います。企業側としては、サイト上で仕事を応募したり、サイトのプロフィールを見て気になる設計者にDM(ダイレクトメール)を送ったりして、仕事を発注します。
やりとり・契約・納品はすべてサイト上で行われますので、サイトを通じて働く機械設計者は企業に出社せずとも、自宅などリモートワークで業務を行います。
既存の設計案件では、3Dモデルや図面の作成を行う、という登録者が多いです。
このように、在宅勤務で活躍する設計者はさまざまな形で存在しており、自社の状況や依頼したい業務に応じて選ぶことができます。
こちらの記事では、「機械設計を外注する方法4選」について解説しました。
「社外で設計者を外注する具体的な方法を知りたい」という方は、あわせてご参考ください。
(まとめ)業務内容を切り出せば、機械設計の在宅勤務は可能
機械設計者は、多くの業務は在宅勤務でも十分に対応可能です。
特に、構想設計やCADによる詳細設計、設計計算、部品表作成などのデスクワークは、パソコンとCADソフトさえあればリモートワークで進められます。
一方で、組立立会いや実機評価といった「現物を扱う業務」は在宅勤務では対応できません。そのため、「設計業務は外部の設計者に任せ、現場対応は社内で行う」 と業務を切り分けることが成功のポイントとなります。
実際に、フリーランスや副業設計者、クラウドソーシング、設計会社など、在宅勤務を取り入れて活躍している設計者は数多く存在します。
大切なのは、「どの業務を切り出せるか」「どの範囲を社内で見るか」 を明確にすることです。そうすることで、依頼する側も安心して在宅勤務の設計者を活用でき、自社の開発スピードを加速させることができます。
在宅勤務での機械設計者活用は、人材不足と言われる時代に貴社の新しい一手となるはずです。
私自身も、業務委託として在宅勤務で機械設計の仕事を承っております。
- 社内に設計者が不足している
- 新規事業を前に進めたいが、人材確保で悩んでいる
- 小さな案件から試しに依頼してみたい
こうしたお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。