企業が副業人材を活用するメリット4選

コラム

👨‍💼「地方の中小企業は、専門スキルを持つ人材と出会う機会が限られている―」

このようなお悩みを抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。

人材不足が深刻化するなか、地方の中小企業でも副業人材の活用が現実的な選択肢になっています。

特に機械設計などの専門分野では、社内にノウハウがなくても、外部のプロフェッショナル人材を活用できる点が大きな魅力です。

近年はWeb会議ツールやパソコン性能の向上、副業制度の広がりによって、副業人材が活躍するチャンスは大幅に増えています。

本記事では、副業人材を活用するための近年の環境と、副業人材を活用する企業側のメリット4選についてわかりやすく解説します。

この記事をきっかけに、自社の人材不足対策として副業人材の活用を考えるようになっていただければ幸いです。

副業人材の活用を後押しする環境が整いつつある

かつては「社内に人を抱えること」が当たり前だった機械設計などの専門業務も、いまでは社外の副業人材に依頼し、オンライン中心で進めるケースも増えています。

背景には、副業人材の活用を後押しする環境が人材面、インフラ面、制度面で整いつつあることにあります。

副業を希望し、実践する人材が増えている

まず人材面では、副業を希望し、実際に副業を実践する人材が増加しています。中小企業庁によれば、「副業がある者の数」、副業を希望している「追加就業希望者数」はともに増加しています。

例えば、「副業がある者の数」つまり副業を実践している人数は、2012年の213.2万人から2022年で304.0万人と、10年間で約100万人増加しています1

Web会議の普及やパソコンの性能向上で、リモートワークでも業務ができる

ZoomTeamsといったWeb会議ツールを使えば、距離が離れていてもビデオ通話や画面の共有ができ、打ち合わせをスムーズに行うことができます。

さらに、パソコンの性能向上もリモートワークでの仕事のしやすさに大きく貢献しています。最近はノートパソコンでも設計業務に使えるものが10万円~20万円ほどで入手できます。例えば、3D CADのようなグラフィック性能が要求される用途も、ある程度こなせるほどのスペックになっています。

筆者は基本的に在宅で機械設計の副業を行っています。在宅勤務でできる仕事については、こちらの記事で解説しました。

求人サイト以外でも、個人の副業人材を探せるようになった

以前は人材を募集する方法として「求人サイトや紙媒体に募集を出す」のが主な方法でした。しかし、今はインターネットの発達により、求人サイトなどに広告を出さなくても自社にマッチする人材と出会える環境になっています。

こちらの記事で、求人サイト以外で人材を探す方法を解説しました。「機械設計者を探す方法」の記事ですが、設計者以外の人材にも活用できる内容になっています。

企業が副業人材を活用するメリット4選

写真:photoAC

副業人材の活用は、単なるコスト削減策ではありません。社内のリソースだけでは手が回らない領域を補い、事業を加速するための有効な手段なのです。

企業が副業人材を活用するメリットは、次の4つです。

  • ①自社にないスキルを持つ人材を活用できる
  • ②雇用リスクが低い
  • ③公的機関の支援制度を活用できる可能性がある
  • ④主体的に動く人材が多い

順番に見ていきましょう。

メリット①:自社にないスキルを持つ人材を自社の業務に活用できる

中小企業が新しい製品やサービスを立ち上げようとするとき、最もネックになるのが「社内に経験者がいない」という点です。

例えば、金属加工メーカーが自社技術を生かして自社ブランドの製品を開発しようとした場合、設計ノウハウがなければ、最初の一歩を踏み出すことさえ難しいでしょう。

こうした場面では、副業の機械設計者に設計を依頼すれば、社内にはない専門スキルをすぐに活用することが可能です。新製品の構想検討・試作設計・図面作成など、プロジェクト単位の業務をスポット的に依頼でき、社内人材の育成を待たずにスピーディに事業を進められます。

メリット②:雇用リスクが低い

副業人材は基本的に「業務委託契約」で関わるため、正社員採用と比べて雇用リスクを大幅に抑えられます

雇用リスクという観点から見ると、副業人材は次の面でメリットがあります。

  • プロジェクトが終了すれば契約も終了できる
  • 社会保険料などの負担が不要
  • 稼働時間に応じた契約形態を選べば、業務がない月のコストはゼロ

もちろん、応募や選定には一定の手間はかかります。しかし、雇用のように長期的なリスクを抱える必要がないのは、資金繰りが大きな課題である中小企業にとって安心材料です。

メリット③:公的機関の支援制度を活用できる可能性がある

副業人材の活用を後押しする国や自治体の支援制度も増えています。

例えば、四国経済産業局では、「人材活用施策ナビ」の中で四国の中小企業に副業人材をマッチングさせる「副業・兼業マッチングプログラム」を実施しています。

「人材活用施策ナビ」を作成しました!(四国経済産業局)

また、石川県では副業人材を受け入れる企業を対象に、補助金制度を設けています。

副業・兼業人材の活用について

メリット④:主体的に働く人材が多い

副業として活躍する技術者の多くは、自分のスキルを武器に個人で仕事を獲得しているプロフェッショナルです。成果が出なければ次の仕事はなく、逆に良い仕事をすればリピートや紹介が増えるという、自身の行動が成果にダイレクトに結びつく環境で仕事をしています。

そのため、会社員に比べて「自らやるべきことを見つけ、主体的に動く姿勢」を持つ人が多い傾向にあります。

設計者であればコストダウンの提案を積極的に行ったり、工程の改善提案をしたりなど、単なる“作業者”ではなく“パートナー”として関わってくれるケースも珍しくありません。

こうした人材と関わることで、社内のプロジェクト推進力が向上することも大いに期待できます。

まとめ:副業人材を活用して、自社の事業を前に進めよう

副業希望者の増加、リモート環境の整備、マッチング手段の多様化といった追い風が吹いており、企業が副業人材を活用しやすい時代が来ています。

本記事では、副業人材を活用するメリット4選を解説しました。

  • メリット①:自社にないスキルを持つ人材を活用できる
  • メリット②:雇用リスクが低い
  • メリット③:公的機関の支援制度を活用できる可能性がある
  • メリット④:主体的に動く人材が多い

この4つのメリットは、「人材確保の難しさ」や「専門人材不足による新規事業の停滞」といった、地方中小企業が抱える課題に直結しています。

副業人材をうまく活用すれば、社内に人がいなくても事業を前に進める力を得ることができます。

人材不足を「できない理由」にするのではなく、「社内にいないなら外部人材の力を取り入れる」という柔軟な発想が、これからの中小企業の競争力を左右します。

まずは、小さなプロジェクトからでも構いません。副業人材の活用を、自社の事業を推進するひとつの手段として検討してみてはいかがでしょうか。

  1. 出典:中小企業庁「2025年版 中小企業白書(HTML版) 第4節 人材戦略↩︎

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