機械設計者は、出図前が特に忙しくなります。大量の部品図を納期までに書かなくてはならない…こんなときは猫の手も借りたくなりますよね。
今回は猫の手ならぬ「AIの手」を借りました。AIに作ってもらった図面を検図し、検図結果を読ませてAIがどこまで仕上げられるかを検証しました!
板金部品図で試した結果、AIで図面は「だいぶ描けるようになったけど、最終の手直しはまだ人間が必要」でした。
今回の記事ではプロンプトやAIの挙動を実体験ベースで公開しています。「AIによる製図の自動化」に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください!
Claude Codeに2D図面を書かせてみた
前回の記事では、Claude Code(AI)にSolidWorksを使わせて2D図面を書かせてみました。AIが図面を書くまでの過程はこちらをお読みください。

こちらの板金部品の3Dモデルの製図をお願いすると、

以下のような図面を描いてくれました。

AIが作ってくれた図面は、表記の仕方など今一歩なところがあり、まだ出図できるレベルではありません。
しかし、人間はCADを全く操作していません。このレベルまで、ほぼ自動で製図できたのは凄いことではないでしょうか?
なお、今回試したAI(Claude Code)の環境は以下の通りです。
- PC:Windows 11 Pro
- Claude Codeのモデル:Fable 5.1
- SolidWorksのバージョン:2026
検図内容
AIが描いた図面をXに投稿し、有識者のみなさんに検図してもらいました。
ご指摘いただいたみなさん、ありがとうございます!!
有識者に加え、筆者からの修正を赤ペン先生形式で記入し、パワーポイントで資料にしました。この内容を投げて、AIに図面を修正してもらいます。

Claude Codeに図面の修正をお願いする
AIに以下のプロンプトを入力します。
板金SAMPLE02.SLDDRWの図面を、Xの有識者のみなさんに検図してもらいました。
図面をスクリーンショットし、修正内容をダウンロードフォルダの修正内容.pptxにまとめました。
こちらの内容を修正お願いします。
また、修正内容は製図スキルに学習させて、次回から反映してください。
AIが頑張って作業を進めています。

そして、以下の図面が上がってきました。

5.5キリの表記や文字の大きさなど修正されている点もありますが、十分に修正が反映されていません。例えば、タップの矢印の表記は変わっていませんし、寸法線の高さがまだそろっていない箇所があります。
AI的には「検図の指摘を全部反映」と言ってはいますが…。


直っていない箇所の図面修正を以下のプロンプトでお願いしました。
次の修正をお願いします。Fig.1とFig.2はダウンロードフォルダにあります。
①詳細図 Aの位置は図面の物体と極力被らないように。この場合は右下あたりに配置してください。「A」の文字サイズは修正する必要はありません。
②M3タップの左端の15の寸法は、50や(15)の寸法と高さを揃えてください。
③図面ビュー1に隠れ線が表示されていません。図面ビュー1→表示スタイルで隠れ線を表示させてください。
④図面ビュー2にまだ円弧と直線の境目の線が残っています。図面ビュー1でやったように、この線を消してください。
⑤図面ビュー1のR5と図面ビュー2のR3は矢印を寸法引き出し線側に出してください。また、Rの中心から伸びる線を消してください。具体的には、Fig.1のように寸法配置の引き出し線オプションを修正してください。
⑥図面ビュー3のR3は内曲げRの内側に寸法線を引き出してください。
⑦図面ビュー1の2×M3の引き出し線の表記は、Fig.2のように引き出し線のオプションを修正してください。
Rとタップの矢印は思うように修正されていなかったので、寸法のプロパティ画面からスクリーンショットを取りました。




2回目の修正指示を受けて、AIが頑張って作業してくれています。


以下の図面が上がってきました。


円弧と直線の境目の線や隠れ線は修正できましたが、Rやタップの矢印表記がまだ微妙な感じです。CADのプロパティ画面でオプションを指定したはずですが、思うような表記になっていません。また、括弧付き寸法の数値がなぜか抜けています。
さらに修正の指示を出します。
①Aの文字はまだ板金内にいます。もう少し下、図形の外に移動させてください。
②(15)の寸法の中身がなくなって()になっているので、寸法を付けなおしてください。
④修正できています。
⑤⑥R5、R3の引き出し線は私の意図した修正ではありません。Fig.3のような見た目に修正してください。寸法配置のプロパティから修正できませんか?
⑦水平の折れ線付き引き出し線の上に文字を持っていけませんか
Fig.3はRの引き出し線がこうなってほしい図です。見本を筆者で作り、スクリーンショットしました。


指示を受けて、AIが修正してくれています。


上がってきた図面は、まだRやタップの矢印表記が思った通りになっていませんでした。さらに修正をしてもらいます。
⑤⑥のRの矢印のオプションですが、Fig.1の赤点線部で示した部分です。変更してください。
⑦の下線付き引き出し線はよくできています。ただ、2×M3の文字が外形線と被っています。物体の外になるように注記を移動させてください。
最終的には、以下の図面が上がってきました。


詳細図の「A」の文字位置や矢印表記など直っていないところはありますが、これらはAIが直せず人間に直してほしいとチャットで伝えてきました。あとは人間が直して出図するということで、いったんAIによる修正は終わりにします。
図面の修正依頼でAIができたこと・できなかったこと
実際に修正を試みて、AIが2D製図でできたこと・できなかったことをまとめます。
まず、できたことは次の通りです。
| 指摘 | 結果 | 補足 |
|---|---|---|
| 文字の表記や大きさの変更 | 〇(1回目で反映) | 「4×5.5キリ」や注記、表題欄の文字サイズ変更 |
| 穴の加工基準の統一 | 〇(1回目で反映) | – |
| 円弧と直線の境目の線(接線エッジ)の消去 | 〇(2回目で反映) | – |
| 板厚を表す隠れ線の表示 | 〇(2回目で反映) | – |
| 詳細図の範囲指定を細い円に変更 | 〇(1回目で反映) | – |
| 寸法線同士が重ならないように配置 | 〇(1回目で反映) | – |
AIができなかったことは次の通りです。できなかった原因はAIにヒアリングしました。
| 指摘 | 結果 | 原因 |
|---|---|---|
| R寸法の引き出し線表記 | ×(4回指示しても反映できず) | SolidWorksのAPIに設定手段がない |
| 2×M3の矢印の表記 | × | SolidWorksのAPIに設定手段がない |
| 詳細図のラベル「A」を図形の外に移動 | × | SolidWorksのAPIに設定手段がない |
| 寸法線の高さを揃えること | △(最終的には1か所揃っていない) | AI的には揃ったと認識したが、実際の図面ではずれが発生している |
できなかったことの多くはSolidWorksのAPIに設定手段がないことでした。AIはSolidWorks APIを経由してCADを操作しているので、そもそもAPIが無ければいくら指示してもできないようです。
また、寸法線の高さは人間が揃えても、SolidWorksは何かの拍子でずれてしまうことがあるんですよね…。どうもCAD側の問題のような気がします。
検図の内容を学習させたうえで、別の図面を描かせてみる
ここまでの修正をAIに学習させたうえで、別の図面を描かせてみます。
今度も板金の比較的シンプルな部品図です。


このモデルの2D図面を描いてもらうよう指示しました。
AIは検図で指摘した内容を学習できているでしょうか?
では、板金SAMPLE03.SLDPRTをSolidWorks形式の2D図面ファイル形式(.SLDDRW)で製図してください。
AIが頑張って作図してくれた結果、次のような図面ができました!


キリの表記や文字の大きさなど、前回指摘したことが反映されています。
この図面の前に修正を1回入れましたが、それも寸法線と他のビューの外形線が重なっていただけの軽微な修正です。
相変わらずRの矢印注記は不自然ですが、矢印の表記変更はSolidWorks APIでは対応できないのでAIが修正するのは難しいでしょう。
比較的シンプルな図面ということもあって、わずかな手直しだけで出図できそうなレベルだと思いました。
AIの図面作成はCAD側がボトルネックになった
AIに図面を作らせてみて、2026年時点でClaude Code×SolidWorksの2D製図は完全に自動化するのは難しいことがわかりました。
AIが図面で操作できないオプションがあり、これはSolidWorksのAPIが対応していないことに起因しています。つまりCAD側もAIからの操作に対応することが求められます。
ただ、板金図面をこのレベルまで製図してくれたら人間の工数は減り、製図の効率化につながりそうだと筆者は思いました。
まとめ:図面はAIが9割くらい修正できたが、完全自動化とはいかない


今回は板金の部品図をAIに修正させてみました。Claude Codeは修正点を認識し、ほとんど直してくれました。体感的に9割くらいの完成度で、最後の1割を人間が修正して出図というレベルです。
どうしても直せなかったのはSolidWorksのAPIが対応していなかったことに起因しています。
修正は1回で直らず、同じ修正を2回指示してようやく直った点もありました。修正点はClaude Codeが学習してくれるので、別の図面をお願いするときは追加の修正はだいぶ減りました。
今後は切削部品など、公差が必要な部品がどこまで描けるかも試してみたいと思います。

