今回は、現役の機械設計者である筆者が「生成AIで3D CADモデルを作ってみた」という記事です。生成AI「Claude Code」に日本語でフランジのモデル作成を依頼してみました。結果、数分でSTEPファイルが出力され、3D CADでそのまま開けました。
生成AIで3D CADモデルを作る方法を、実際にAIに指示したプロンプト・生成結果・仕組み・注意点まで、実演ベースで解説します。
筆者は現役の技術者として企業で勤務しつつ、機械設計・製図の業務委託を行っています。3Dモデル化や図面作成でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
Claude Codeに3D CADモデルを作ってもらう

まず、生成AIに実際に送った指示文から紹介します。
使用したのは、Anthropic社のエージェントAI「Claude Code」、モデルは「Fable 5」です。Claude Codeは有料プランへの加入が必須なので、Proプラン(2026年7月現在、月額20ドル)以上で利用しましょう。
エージェントAIとは、指示を受けて自分でプログラムを書き、実行し、検証まで行うタイプの生成AIを指します。チャットで文章を返すだけの生成AIと違い、作業そのものを最後までやり切る点が特徴です。
送った指示は、日本語のたった1文です。
直径100、厚み20の円筒に90°等分配置PCD80でΦ10の穴が4つ空いており、センターが直径50で深さが5の穴が開いているフランジの3Dモデルを作成してください
PCD(ボルト穴の配置円直径)やΦ(直径を表す寸法補助記号)といった図面用語もそのまま通じました。スケッチの作成も座標の入力も不要で、CADを操作せずとも「日本語で形状を説明する」だけで依頼が完了します。生成AIへの命令のハードルは想像以上に低かったです。
フランジのSTEPファイルを生成し、3D CADで開くことができた

Claude Codeは数分でSTEPファイルとSTLファイルを出力しました。STEPはCADソフト間でやり取りできる標準的な3Dデータ形式、STLは3Dプリンタなどで使われる形式です。
出力されたSTEPをSolidWorksで開くと、指示どおりの形状が再現されていました。
- 外径Φ100×厚み20の円筒
- PCD80にΦ10の穴が90°等分で4つ
- センターにΦ50×深さ5の穴
さらにAIは、指示していないのにモデルの体積140,979mm³を自ら計算してくれました。生成して終わりではなく、自分の成果物を自分で検算する動きもできるようです。
加えて、設計者視点のコメントまで返ってきました。「穴外側エッジ(R45)と外周(R50)の肉は5mm。ボルト座面を考慮する場合はご留意ください」という寸法関係の確認です。ボルト穴まわりの肉厚は設計者が気にするポイントであり、単なる形状生成にとどまらない実力を感じた場面でした。
Claude Codeが3D CADモデルを生成する仕組み

なぜ生成AIが3D CADモデルを作れるのか、その仕組みは以下の通りです。
実体は「オープンソースのCADライブラリを使うPythonプログラムを、AIが自動で書いて実行する」という流れです。今回AIが使ったのは、無料で使えるCADライブラリ「CadQuery 2.8」でした。処理は次の4ステップで、すべて全自動で進みます。
- 環境準備:CadQueryの有無を確認し、無かったので自動インストール
- コード生成:外径・厚み・PCD・穴径・センター穴径・深さの6寸法を変数化したPythonスクリプトを自動生成
- 実行:スクリプトを実行してSTEP/STLを出力
- 自己検証:体積を計算し、手計算と一致することを確認
ポイントは、寸法がパラメータ化(変数化)されていることです。これによって、後から寸法を自由に変更することができます。実際、「穴のPCDを80に修正して」とClaude Codeに一言伝えるだけで、PCDをΦ60→Φ80に修正したバージョンの3Dモデルが再出力されました。
2D図面を読ませて3Dモデルを作成する

応用編として、2次元図面から3Dモデルを起こすこともやってみました。
上図のような2D CADで作図したプレートの2次元図面PDFファイルを添付し、Claude Codeに次のプロンプトを送りました。
添付のプレート-test.pdfの形状を、同様の流れで3Dモデル化してもらえますか?
AIはまずPDFを画像化するPythonライブラリ「PyMuPDF」を自動インストールし、図面を読解して寸法と注記を抽出しました。読み取った内容は次の通りです。
- 品名:プレート
- 材質:SUS304
- 外形:160×160×t10
- ボルト穴:4×Φ17(100×100ピッチの正方配置・貫通)
- 中央穴:Φ50貫通
- 四隅:C5面取り
そして、下図のような3Dモデル(STEPファイル)が生成されました。

特筆すべきは、注記「指示なき角部は糸面取り(C0.2〜0.3)」に対する判断です。AIは「加工指示のためモデルには反映しない」と自らコメントしました。糸面取りをモデルに作り込まないのは一般的なモデリング慣行であり、図面の読み方として妥当な判断です。
2D図面から3Dモデルを起こす、いわゆる図面のモデリング作業が「PDFを添付して一言」で終わったことになります。
生成AIで3D CADモデル作成の注意点と限界
Claude Codeを使うと、自然言語や2D図面から3D CADで開けるモデルを生成できることを確認できました。
一方で、生成AIによる3D CADモデル作成は万能ではないとも感じました。実演を通じて感じた注意点と限界は、以下の通りです。
複雑な自由曲面や意匠形状は苦手
生成AIは「Φ〇の円柱」や「寸法幅〇mm×△mm、厚み□mmの板」のような言語化できる3Dモデルを作るのは得意です。一方、マウスのような滑らかな曲面(自由曲面)のモデリングは苦手です。
理由は、自由曲面は「もう少し自然に膨らませる」といった調整を言語で伝えることが難しいからです。「もう少し」や「自然に」を数値で伝えるとなると、結局CAD上で自由曲面の点をわずかに動かして調整する、といった目と手の反復作業を行ったほうが早いです。
マウスの3Dモデルを生成させてみました。一応、自由曲面っぽい形状は作れるようです。しかし、ここから人間が握りやすい形状に微調整する指示を生成AI越しに伝えるのは難しいなぁと思いました。

モデルの品質担保は必ず人間が行う
今回は比較的単純な形状ということもあり、指示通りの寸法モデルが生成できました。しかし、寸法の解釈違いや図面の読み違いはあり得ます。出力した3Dモデルを無条件に信用せず、人がモデルの品質を担保する前提で生成しましょう。
機密データを入力しない運用ルールが必須
生成AIは外部サービスです。会社の設計データや機密情報(図面はほとんどの場合、企業の機密情報にあたります)をそのまま入力しない、といったセキュリティ面のルール作りをしましょう。
もっとも、これは生成AIを使う/使わないの問題ではなく、自社の情報保護のルール作りとなります。
公差・材質・加工性の判断は設計者の仕事
AIが作るのはあくまで形状です。公差の設定、材質の選定、加工しやすい形状への配慮は依然として設計者の判断領域です。
出力されたSTEPは3D CADでは直接編集し辛い
STEPファイルは穴などのフィーチャー(形状の構成要素)の履歴を持たないため、3D CAD側で穴径だけを直接変更するような編集はできません。修正はAI側で寸法を変えて再出力するのが基本です。
モデルの修正は3D CADで行いたいので、これは割と残念なデメリットです。
将来的には生成AIとCADが連携し、そのCADのネイティブ形式(SolidWorksであれば.SLDPRTファイル)を出力できるようになることが期待されています。
実際、ClaudeはAutodesk社の3D CAD「Fusion」と連携する機能を追加しています。以下の動画は、Claudeのチャットに命令すればClaudeがFusionを操作するデモです。
将来的には貴社の3D CADもClaudeと連携し、生成AIからCAD形式のファイルを作成することが当たり前になる日が来るかもしれませんね。
Claude Codeで3D CADモデルを生成して感じたこと
Claude Codeで実際に3D CADモデルを生成させてみて感じたのは、これは「設計者が不要になる」話ではなく「設計者の手が速くなりうる」話だということです。比較的単純な形状をたくさん作る必要が生じた時に、このようにAIを使って生成するとモデリングの効率が上がる、というような使い方が現実的だと感じました。
設計判断を含む業務は、筆者が機械設計の業務委託でお受けしています。3Dモデル化はもちろん、図面1枚からといった小規模案件でも実績がございます。また、CADの外注そのものを検討している方は、料金相場と依頼方法を次の記事で解説しています。

まとめ:簡単な3Dモデルは自然言語や2D図面から作れるようになった
本記事のまとめです。
- 生成AI(Claude Code)への日本語の指示で、フランジのSTEPファイルが数分で出力され、SolidWorksでそのまま開けた
- 2D図面のPDFを添付するだけで、寸法・材質・注記まで正しく読み取った3Dモデルが生成された
- 体積の自動検算や「ボルトの座面に注意」といった設計者視点のコメント付き
- 寸法がパラメトリックに変数化されており、PCDなどの寸法修正が可能
- STEPファイルは3D CAD上で直接編集できないなど、運用上の注意はある
まず試すなら、今回のようなフランジやプレートといった簡単な部品から始めると良いでしょう。生成AIと3D CADの組み合わせは、単純形状のモデリングであればすでに実用の域に入っています。
筆者は現役の技術者として企業で勤務しつつ、機械設計の業務委託を行っています。3Dモデル化だけでなく、公差や材質の判断を含む機械設計・製図のご依頼は図面1枚から承ります。まずは無料見積もりから、お気軽にご相談ください。

