CAD図面作成の外注費用は、トレースや部品図で1枚あたり5,000円〜1万5,000円、時間単価では2D CADで3,000円前後、3D CADで3,500円前後が相場です1。本記事では、CAD外注に頼める業務・料金相場・外注先の選び方を、機械系の図面を中心に解説します。
筆者は現役の技術者として企業で勤務しつつ、機械設計・製図の業務委託を行っています。機械系の図面でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
CAD外注でできること

CAD外注に依頼できる業務は、大きく3つに分かれます。
新規の図面作成(部品図・組立図)
ポンチ絵や手書きスケッチ、3Dモデルをもとに、CADで2次元図面を起こす業務です。機械系では部品図・板金図・筐体の外形図・装置の組立図などが代表例です。寸法・公差・材質・表面処理まで記入した「そのまま加工に出せる図面」に仕上げるには、JISの製図規格と加工の知識が必要になります。筆者が受ける依頼では、試作部品の部品図や、装置改造にともなう追加部品の作図が中心です。
図面のトレース・CADデータ化
紙図面をなぞって、DXF・DWGなどのCADデータに変換する業務です。図面の原本が紙で、これをデジタル化したいといった場合に需要があります。作業内容が明確なため外注業務の中では最も定型的で、料金も1枚単位で明朗です。数量と納期が読みやすいため、初めての外注にも向いています。
2D図面の3Dモデル化
2D図面から3Dモデルを起こす「3D化」も、依頼の多い業務です。3Dデータがあれば、干渉チェックや強度解析、3Dプリンタでの試作につなげられます。
「最近3D CADに移行したが、過去の設計資産は2D CADで書かれたものが多く残っている」という企業において、図面を3D化したいという需要に応えます。
CAD外注の料金相場
CAD外注の料金体系は「図面1枚あたり」と「時間単価」の2種類が主流です。
図面1枚あたりの料金相場
| 依頼内容 | 料金目安 |
|---|---|
| 図面トレース(A3サイズ) | 1枚 5,000円〜1万円 |
| 図面トレース(A1サイズ) | 1枚 1万円~ |
| 部品図の新規作成 | 1枚 5,000円前後〜 |
| 組立図・計画図(A1サイズ) | 1枚 4万円程度 |
サイズが大きいほど、また寸法・公差・部品点数といった記入する情報が多いほど高くなります。なお、建築系の平面図のトレースは業者により1枚6,500円〜27,500円程度と幅があり、図面の情報量しだいで表の上限を超えることもあります。
同じ「図面1枚」でも、記入済みの下書きをなぞるのか、ゼロから寸法を決めながら描くのかで工数は数倍変わるため、見積もり時に考慮してください。
時間単価の料金相場
作業量が事前に読みにくい設計込みの依頼では、時間単価で契約することもあります。クラウドワークスにおける相場は2D CADで3,000円前後、3D CADで3,500円前後です。
比較対象として、技術者派遣の単価は時給換算で3,500〜4,100円ほどです。技術者派遣の単価と内訳は、以下の記事で詳しく解説しました。

「作業量が読みにくいから時間単位」と言えども、発注側にも予算がありますし、受注側にも他の案件との都合もあります。そのため、時間単価で契約する場合は、発注前に「この内容なら何時間か」の概算を出してもらい、上限時間の目安を決めておくと良いでしょう。
安すぎる見積もりに注意
外注の価格は、基本的に「時間単価×工数」で決まります。例えばA3の部品図1枚に3時間かかるなら、時間単価3,000円で9,000円です。この内訳から極端に外れた安い見積もりは、工数の読みが浅いか、検図工程を省いている可能性があります。
なお、安い代行サービスが悪いわけではありません。海外拠点の活用などの工夫で単価を下げ、低価格と品質を両立する設計会社もあります。注意すべきは、公差や材質の判断が必要な図面まで「定型作業の価格」で請ける見積もりです。あとから手戻りが発生し、かえって高くつくと筆者は考えます。
CAD外注のメリット・デメリット

CAD外注のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
- 繁忙期の作図業務を平準化できる
- 小規模な案件でも依頼可能(図面1枚・案件単位で依頼できる)
- 固定費でなく変動費になる
CADオペレーターを1人雇用すれば毎月の固定費が発生しますが、外注なら図面が発生した分だけの支払いで済みます。また、機械・電気系エンジニアの求人倍率は全体より高水準が続いており4、設計者の採用は難しい状況です。作図・設計リソースを確保する手段として、外注の合理性は今後も高まると筆者は予想します。
デメリット
- 作図のノウハウが社内に残らない
- 新規の外注業者に依頼する場合、依頼内容のコミュニケーションコストがかかる
- 社外に図面を出すため、機密管理への配慮が必要になる
特に2つ目は見落とされがちです。社内なら口頭で済んでいた指示を、資料や打ち合わせで伝える手間が発生します。「これなら社員に頼んだ方が楽だ…」と最初は思われるかもしれません。
ただしこの手間は、発注側の指示の標準化(依頼内容の資料をフォーマット化する)、継続的に依頼する(いわゆる「お得意先」の関係性を作る)ことで小さくなります。
CAD外注の方法4選と使い分け

ここでは、CAD外注先4選と、それぞれの使い分けについて解説します。筆者は企業で設計者として勤務しつつ、個人で設計業務を受けた実績もあります。そのため、CAD外注の発注側と受注側、両方の経験から整理します。
①派遣会社
製造業では人材派遣会社を使ったCAD操作のアウトソーシングが広く普及しています。人材派遣会社の中には技術者を多く抱える会社もいます。その中には様々な派遣先企業での実務経験があり、多様なCADを使える人材もいます。メイテックやテクノプロが大手の技術派遣会社として知られています。
派遣会社を使ったCAD外注は、企業にフルタイムで派遣するため安定した量を依頼できる、派遣先の会社に常駐するため社員とのコミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。
派遣会社に依頼するときの一般的な単価はこちらの記事で解説しました。

②設計会社
設計を専門に請け負っている会社(設計会社)に依頼する、というやり方です。
多くの設計会社はCAD図のトレース・作図依頼に対応しています。料金が1枚単位で明朗、品質管理の体制があり、組織の力で大量の図面も安定して納品できるのが特徴です。
まとまった量の図面のトレースや定型的な作図があるなら、設計会社に依頼するのが合理的でしょう。
海外新興国の設計者に依頼することで、低価格で仕事を請ける設計会社もあります。
例えばMinami Technologyさんはベトナムの設計会社で、日本企業向けに設計・製図代行事業を行っています。代表の方は10年間トヨタ系企業で機械設計の経験を積んだ後、独立してベトナムで設計会社を起業しました。
Minami Technologyさんの設計単価は1,500円~2,500円5とのこと(2026年7月現在)。製造技術者の派遣単価が概ね3,500~4,100円6ですので、単価だけで見ると4割ほど割安となります。
③クラウドソーシングなどのマッチングサイト
ランサーズ・クラウドワークスなどのマッチングサイト経由で依頼する方法です。
マッチングサイトでの発注は単発・低予算の依頼に向き、価格も抑えやすいというメリットがあります。一方、スキルの個人差が大きく、当たり外れは発注者側で見極める必要があります。登録者の過去の実績と評価を確認し、最初は小さな依頼で試すのがいいでしょう。
CADの外注ですと、上記2サイトに加え、次のようなマッチングサイトの募集が多い印象です。
④フリーランス・副業人材への業務委託
最後に紹介するのは、個人で活動しているフリーランス・副業の機械設計者/CADオペレーターに依頼する方法です。
フリーランス・副業人材の見つけ方ですが、知り合いのつてを頼る以外にインターネットを活用する方法があります。具体的には、SNSやブログを通して信頼できる個人の設計者を見つけ、直接つながります。
個人の設計者を探すには、以下のような方法があります。
- Google検索で「機械設計事務所 個人」「機械設計 外注」などのキーワードで調べる
- X(旧Twitter)で「機械設計」などのキーワードで調べる
- noteで「機械設計 フリーランス」などのキーワードで調べる
調べてみると、インターネットには何人もの機械設計者が発信活動をしていることがわかります。
特にXやブログでは、自身の考え方や得意な分野について発信している設計者もおり、人柄や専門性が事前に見えるのが安心材料となっています。
依頼する前に、発信内容を見て「この人なら安心して依頼できそうだな」と判断することができます。
筆者自身も、プライム上場企業に15年機械設計者としてのキャリアを持ちつつ、人材不足感を持つ企業さんに機械設計サービスやCAD図面作成代行を行っています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
依頼先の使い分け方
これまでの内容から、4つの依頼先についてまとめました。
| 外注先 | 向いている依頼 | 料金の傾向(目安) |
|---|---|---|
| 派遣会社 | 企業に常駐し安定した量を依頼する | 約3,500~4,100円 |
| 設計会社 | トレース・定型の作図を大量に | 図面1枚単位で明朗会計 |
| クラウドソーシング | 単発・低予算の作図 | 比較的抑えやすい |
| フリーランス・副業人材 | プロジェクト単位から継続案件まで柔軟に対応可能 (依頼内容・個人しだい) | 依頼内容・個人しだい キウイ設計では4,000円/時間~ (依頼内容に応じて相談可) |
CAD図作成の量が多く、組織の力を借りたいなら派遣会社、設計会社が向いているでしょう。ただし基本的にはCAD外注は依頼内容が多いほど費用は多くかかります。特に派遣会社の依頼はエンジニアが常駐しますのでトータルの費用は高くなる傾向です。
図面数枚のようなスポット案件の場合は、クラウドソーシングやフリーランス・副業人材への依頼も有効になります。
とはいえ「副業人材に依頼をしたことがない」という企業さんもまだまだ多いと思います。下記の記事で、副業の設計者の働き方事例や、副業人材に依頼するポイントをまとめました。発注の際に参考になれば嬉しいです。

機械系のCAD図面を外注するときのポイント

ここでは、CAD図面の外注を発注する側、受注する側両方を経験した筆者が考える外注のポイントを解説します。
CADオペレーターと設計者の違い
CADオペレーターは、指示された内容を正確に図面化する専門職です。一方、設計者は公差・材質・加工方法まで自分で判断して図面を描きます。
機械図面では、この違いが仕上がりを左右します。寸法公差や幾何公差の入れ方ひとつで、部品の機能も加工コストも変わるからです。例えば、はめあいが必要な穴の公差指示が抜けていれば、組み立てられない部品ができあがります。加工性も同じです。板金の曲げ半径や汎用的な工具が使えない形状など、小さい形状であっても製造コストが変わります。
トレースや発注側で公差・材質まで全て指定するならCADオペレーターへの作図依頼でOKですが、その判断も任せたいなら、単価が高くても機械設計者に頼むほうが手戻りは減るでしょう。
発注時に伝えるべき情報
発注の流れをスムーズにするため、下記の点を外注先に伝えると良いでしょう。
- 使用CAD
- 納品形式(PDF、DXFデータ、3Dデータ)
- 納期
- 元データの有無と形式(紙・PDF・DXF・3Dデータ)
- 公差の考え方と場所(一般公差でよいか、機能上の指定があるか)
- 材質・表面処理
- 部品の用途(何の装置の、どこに使う部品か。可能なら組図があると望ましい)
- 類似部品の参考図面があるかどうか(あったほうが図面が描きやすく、時間短縮につながる)
用途が分かるだけでも、受注側は公差や材質の妥当性を確認しながら作図できます。
まとめ:図面1枚からでも外注できる
最後に、本記事のまとめです。
- CAD外注の相場は、トレース・部品図で1枚5,000円〜1万5,000円、時間単価の目安は2Dが3,000円前後・3Dが3,500円前後
- 価格は「時間単価×工数」で決まる。極端に安い見積もりは手戻りに注意
- トレース・定型作図は代行会社、設計判断を含む図面は設計者への業務委託が向く
- 発注時は使用CADと納品形式・元データ・公差・材質・用途などを伝えるとやりとりがスムーズになる
CAD外注は、まとまった量でなくても依頼できます。当ブログ「キウイ設計」では、現役の機械設計者が機械設計・製図を業務委託として請けています。「この図面だけ」「この時期だけ」でも相談できます。
図面1枚からの小規模案件でも実績がございます。まずは無料見積もりから、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 出典:クラウドソーシングTimes「CAD設計依頼の相場について知る!図面単位や時間単位ではどの位?」 ↩︎
- 出典:トレースジャパン「CADトレース(図面のCAD化)ならトレースジャパン。A1まで 1枚 6,000円で承ります。新宿・東京・さいたま・埼玉・千葉・日本全国」 ↩︎
- 出典:おすすめのCADトレース代行業者Navi「図面トレース(CAD化)代行の料金相場」 ↩︎
- 出典:doda「転職求人倍率レポート(2026年5月)」 ↩︎
- 出典:X「mitech_機械設計@ICAD/SX」 ↩︎
- 出典:キウイ設計「派遣の単価はいくら?相場・内訳と製造業エンジニアの費用を解説」 ↩︎

